タマネギ中毒は、ネギ類(タマネギ、ネギ、ニラ、ニンニク)を消化分解してできるジプロピルスルフィドという成分が赤血球を酸化傷害することで溶血性貧血疾患(ハインツ小体性貧血)を起こす、命にかかわる病です。特に犬は感受性が強く、体重1kgあたり少なくとも5gのタマネギ・ニンニクで中毒は起こります。(タマネギ1個およそ150〜270g)
ネギ類の生食材、調理済み、乾燥、粉末、煮汁すべてに毒性があり、カレー、シチュー、ハンバーグ、炒飯、すき焼き、鍋もの、レバニラ炒め、餃子、ガーリック味ポテトチップスなど、絶対に与えてはいけません。人が食べるものを与えるときは食べて大丈夫なのか注意する必要があります。
流涎、嘔吐、下痢、元気消失や粘膜蒼白などの貧血症状、紅茶色の尿がみられます。ネギ類の摂取から症状発現までに2〜5日(個体差や摂取量により0.5〜10日)かかり、その間、中毒は進行していきます。
貧血の進行を抑える注射(脾臓での酸化赤血球破壊の抑制)を行います。同時に破壊赤血球からの漏出による高カリウム血症の治療と、嘔吐下痢の治療を行います。多量摂取や食事直後の場合は催吐処置や活性炭の投与を行います。貧血状態に応じて静脈点滴や輸血、造血促進剤の投与、重症例ではヘモグロビン尿関連腎尿細管障害に対して入院治療が必要な場合もあります。
迅速に治療すれば一般的には予後良好ですが、重篤な場合は手遅れになる危険な中毒です。ネギ類を摂取してしまった場合、症状が見られなくても、すぐ病院へ相談してください。
|